==AABR==第9章



ジサクジエン(男子4番)はガスボンベを取り外し、ガスボンベそこに置いたまま滑車を探すことにした。
まずこの家にはおおまか探したがなかったので、探しに行かないと行けない。
支給された地図を見て確認すると、南東辺りに畑があった。
そうだ、農家の家になら滑車はあるかもしれない。
近くで銃声が聞こえたのが心配だが、滑車を取りにE5へと向かった。
【残り30人】

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逝きのいいギコ売り(男子18番)はさきほどの位置から少し東、
ちょうどC-4あたりの位置にいた。
山崎渉に襲撃された時の恐怖と、それに伴う緊張が心を覆っていた。
それでも彼はなんとか正常を保とうと試みていた。
がさっ。
ふいに嫌な音がした。そう、誰かが近づいてくる、草に触ったときに出る、あの音。
彼は再び恐怖に支配されそうになった。
殺らなきゃ、殺られる。
もうすっかりお馴染みとなったその言葉を頭の中で暗唱しながら、彼は逃げる途中で見つけた
ビール瓶をしっかりと握りしめた。
来るなら来い。誰だかしらないが、お前が姿をあらわした瞬間、俺がお前の頭にこれを―――
がさっ。
「お前」の姿が見えた。彼はぐっと息を呑んだ。
相手までは軽く3mほどあり、向こうはまだこちらに気付いていない。
彼は、その人物、ウソコビーム(男子10番)の頭をじっと見た。

ウソコビームがふいにこちらを向いた。次の瞬間―――
彼はビール瓶をウソコビームの頭めがけて大きく振った。
がしゃっ。
大きな音が響いた。
ウソコビームは何も言わずに倒れた。そして地面が赤く染まり始めた。
彼は自分が人殺しをしたのだと気付いた。そしてその罪を自分の中で弁解し始めた。
俺が悪いんじゃない、こいつが―――
彼はそこまで考えた後、ウソコビームのものであったバッグを担ぎ、
また走り出した。
彼の思考はもはやその機能をなしていなかった。


ウンコビーム(男子10番)は目を覚ました。
逝きのいいギコ売りに殴られたものの、彼は死んではいなかった。
彼は記憶をたどりつつ、ゆっくりと起き上がった。

【残り30人】

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近くで何か割れる音が聞こえたが、それどころではない。
E5へ向かって急いだ。とにかく早くだ。
とりあえず早めに急いだのでE5には比較的早く着くことが出来た。
辺り一面が畑になっており、農家の家らしき民家がぽつぽつと並んでいた。
ジエンは、その中の一つの民家に向かった。その倉庫を探してみると、案の定
滑車があった。これで準備は整ったのだ。あと、計画の成功を祈るしかない。
送っている最中にガスボンベが倒れたりしたら、そこで首が吹っ飛ぶに違いない。
だが、やらないといけない。クラスメイトが多く死んでいかない為に、だ。
滑車を転がしたまま、ジエンは走って戻り出した。

【残り30人】

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【女子16番】あらやだ は朦朧とする意識の中立ちあがった・・・。
「あら・・・や・・・だ・・・」
よろよろと東の方向へゆっくりと歩いていた・・・が、いきなりあらやだは血を吹いて倒れた。
血を吹かせた張本人は、レモナだった。
「氏にかけてたから、楽にさせてあげたわ~」
レモナはあらやだが何も使えそうなものを持ってないと確認すると、そのまままたモナーの後をついていった・・・。
森に再び不気味な静けさが戻った・・・。

【残り29人】

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ヤクザモナー(男子11番)は長い間森を歩いていたが、
銃声を聞きつけ、C3にやって来た。
すると、しぃ(女子1番)とギコ(男子3番)が銃を持って立っていた。
ヤクザモナーはすかさずしぃに向けてブローニングを撃った。
【男子4番ギコ】はとっさに銃声が聞こえた方に、持っていたライフルを乱射した。
森のほうでドタッと何かが倒れる音がするのと同時に目の前のしぃも倒れた。
ギコはしぃに近づいた、するとしぃは今にもかすれそうな声で、
「ダ…ッコ…」
と言った。
それとほぼ同時に森の方から銃声が聞こえた、

パーン。

次の瞬間ギコの足に激痛が走った。
しまった、足をやられてしまったのだ。
そして森の方からゆっくりとそいつは姿を現した
「男子11番ヤクザモナー」だった

モララー(男子5番)は銃声と共にしぃが倒れるのを見た。
森のほうから出てきたのはヤクザモナー(男子11番)であった。
モララーはすかさずウージーをヤクザモナーに向かって連射した。
ぱぱぱと、音がしてヤクザモナーの身体は吹っ飛んだ。
すぐに、岩陰に隠れてギコの様子をうかがった。

ジサクジエン(男子4番)がガスボンベを滑車に最低限に固定し、D4、刑務所に向かい始めた。
その時、激しい銃声が続いた。
ジエンは驚いた。少し歩いたら、目の前にギコ(男子3番)とモララー(男子5番)がいたのだ。
ジエンはどうすればいいか分からずその場を動けなかった。


ギコはヤクザモナーが倒れるのを確認すると、足を引きづりながらしぃの亡骸に近づき、その冷たくなった手から銃を奪った。
そしてデイパックの中から弾丸を取り出し、できるだけ沢山詰めると2丁の銃を森に向かって乱射した。
銃声があたりを包んだ、こんなに長時間銃を鳴らす事は敵に自分の場所を教えているような物だが、頭の中は殺されるという恐怖だけで支配されておりそんなことを考える余裕は無かった。


【残り27名】

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灯台の窓から見張っていたグルグル君(男子24番)は、
灯台の下にカプチーノ甘口(女子17番)がいるのを見た。
「ニダー、下に誰か来たぞ」
「とりあえず話してみるニダ」
そう言うとニダーは階段の途中で、灯台に入ってきたカプチーノに対し
「ニダー達と組まないかニダ?脱出を目指してるニダ」
「・・・、脱出ねぇ・・・」
甘口は少し考えていたが、しばらくしてこう答えた。
「いいけど・・、その代わり私の気が変わったりしたらいつでも抜けるからね」


ギコ(男子1番)が乱射した銃弾は、モララー(男子5番)、ジサクジエン(男子4番)にも当たりはしなかった。
だが、滑車に乗せていたガスボンベの見事にヒットした銃弾は、ボンベの中に溜まったガスを爆発させる位には十分であった。

刑務所のすご近くで爆発が起きた。ジエンの持っていた手榴弾も誘爆し、大きな爆発となった。
ジエンはあと少しの所で、炎の中に消えた。
モララーも爆風で吹っ飛び、手からウージーが落ち、10m程吹っ飛ばされた。
すぐにモララーはウージーを拾いに向かった。
【残り26人】



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